注意:映画のネタバレがあります。
恋人は映画を観る習慣がなく、おれは映画が好きなのでよく独りで観にいく。
ガンダムなら恋人もそれなりに楽しめるのではないかと思い、一緒に観に行った。
おれも恋人もガンダムシリーズを見ていないので、ガンダムがモビルスーツと呼ばれる武器の一つで、ジオン軍や地球連邦軍などいくつかの勢力が争っている、その程度の知識しか持ち合わせていなかった。
予習せずに楽しめるのか不安もあったが、夜の市街地での戦闘シーンがめちゃくちゃカッコ良くて、
アニメはこうでなくっちゃ!!
と二人とも満足した。
ただ、
知らない人物名や組織名が解説無しで飛び交うので、ついていくのに集中力が必要だった。
物語の序盤で、ハサウェイはマフティと呼ばれる組織のリーダー(らしい)という描写があり、地球に降りた後で、
ギギが貴方達のやり方は正しくないとハサウェイを批判したり、タクシー運転手がマフティは生活困窮者に寄り添っていないと発言していたので、
マフティという組織=正義の味方という話ではないんだな、と想像しながら観た。
というか、
この映画は近い将来の地球を描いているらしいという事が徐々に分かってきて引き込まれた。
劇中に語られた情報から推測すると、
多分、地球は人口増加や環境汚染等が原因で、全人類が地球に住むのは難しい状況にある。
地球には居住可と不可の地域があり、地球に留まるには政府(行政?)に多額のお金を渡さないといけない。
これらの設定って、現実世界でもそう遠くない未来に起こりそうだ。
現実世界ではまだ実現していないが、宇宙に人間が住めるようになったとしたら人類は地球と宇宙、どちらに住みたいと考えるだろうか。おれは地球に住み続けたい。
物語に戻るが、
地球に住む事ができる人間は富裕層や政治家といった一部の層だろう。
そうであれば、特権を享受する層と貧困層にはかなりの断絶があると想像するに難くない。
マフティは人類みんなで宇宙に行くという理想を掲げているようだけど、その動機は何だろう。一部の支配層が地球に留まるのは不公平だから全員で、という理由だろうか。劇中で『1,000年後の未来を考えて』の行動だというハサウェイの発言があるけど、意図するところは何だろうか。人類がみんな宇宙に行った方が良い理由って何だろう。
地球の環境保全?保全というか回復?
分からん。
続編で語られるのだろうか。
でも、1,000年先の未来を考えて行動するのって、実際にはすごく難しいだろう。
劇中のタクシーの運転手のように、目先の生活に追われている人は特に。
ちなみに、
劇中で一番心に残った台詞は、ハサウェイの
「じゃあ教えてくれよ、
この仕組みの深さを破壊する方法を」だ。
現実世界においても利権、政治、法律、各種制度が複雑に絡み合って多層化していて、シンプルにする事ができない。
だから一度テロ行為を以って既存の体制を破壊し再構築を試みる、というのがマフティの採用した方法なんだろうけど、マフティの大義を実現するためには人が多く死ぬ。
おれはテロ行為を支持することなんて絶対にしない。絶対に肯定しない。
意見が異なる場合の解決方法は、話し合いで落とし所を探るしかないと思っている。
でも話し合っていると時間切れになる。
そんな時、じゃあ、君はどうする。
この選択を世界全体、人類全員が突きつけられているという世界の話なのだろう、この閃光のハサウェイという物語は。
日本ではSDGsが盛んに取り沙汰されているけれど、これに真剣に取り組まなければ、この映画で描かれている事態は確実にやってくる。この物語は自分の現実世界と地続きであるという事を感じさせるという意味でも、とても面白い映画だった。シンプルにアニメーションの迫力だけでも楽しめたが。
余談になるが、
ハサウェイは基本スーツ姿であり、結構恰好良い。
第二ボタンまで外したワイシャツから覗く首筋や鎖骨が健康的な影を肌に刻んでいて、妙に色っぽい。
上向きに生えている長い睫毛が、ちょっとかわいい。
ほっぺが少し丸くあどけなさの残る顔立ちと、大きな組織のリーダーというギャップがある。
少し鼻にかかった声が良い。
ハサウェイ、結構良い。
他にも、ケネス大佐が、ハサウェイが食事を摂っている皿からつまみ食いをしていて、何か親密な空気感ある、、、
結構良い。
最後に、
ハサウェイが劇中でフィリピンのダバオを歩くシーンで、ジョリビーというファストフード店の看板が映っていたが、あの店のキャラクターはドキンちゃんに似ている。
