パリ旅行記01 シャルル・ドゴール空港からロワシーバスに乗った話と、ノートルダム大聖堂やルーヴル美術館の辺りを散策した話。あと、スリにはご注意を。

2023/09/20

朝7時15分、QR0041機はパリ=シャルル・ド・ゴール空港に着陸した。飛行機を降りて入国審査場に向かうと、建物の作り方にも原因があるのだが、入国審査官までどれくらいの人が並んでいるのかも見通せない程の長蛇の列でげっそりする。列の進み具合は牛歩遅々たるもので、1時間経過しても数メートルしか進まない。あまりにも進捗が遅いため列に並ぶ人々のイライラが高まっているのを感じつつ、かく言うおれもかなりげんなりした。何故なら、パリに来る前にトランジットしたドーハ・ハマド国際空港の入国審査が実にスムーズだったからである。

先が見えないせいでただ立っていることがしんどく、座り込みたい気持ちになった頃に空港職員が現れて「あなた達は向こうに移動してください!」という案内があった。『良かった!この長蛇の列ともおさらばだ!』と希望に胸を膨らませたどり着いた先に待っていたのは、長蛇の列。喜び勇んで早足で移動した全員で肩を落とした。そして、あろうことかそのがっかりしてる人々を横目に、空港職員が上機嫌で口笛を吹きながら悠々と通り過ぎていく。

他人のお気持ちお察しカルチャーに染まっているおれは割と驚く。

海外に行くとカルチャーショックを受ける機会がたびたびあるが、フランス人は日本人よりも自己中心的な人が多いと聞く。今回おれがパリに行くと友人たちに話したところ、数名からフランス人のあまりよくない印象、例えばスーパーの店員が常に不機嫌であるとか、カフェでウェイターにため息をつかれたとか。他にも借りている部屋の不具合で修理を依頼すると「壊れて使えないのが通常。直しません。」と数日後に知らされるとか、そんな話をたくさん聞かされてきた。「フランス人」というクソデカ主語で話すことではないと重々承知の上だが、もしフランスでそのような出来事に遭遇してもあまり驚かないでおこうという心構えだけはして、おれはパリにやってきたのである。

そんなわけで、入国審査で列に並び疲れ切った人々の横を通り過ぎる空港職員が、上機嫌で口笛を吹きながらゆったりと歩いているのを目の当たりにしても、『これがフランス人らしさか』と思っておかしみすら感じる余裕があった。

そんなことを考えていたら入国審査官の窓口が追加で2つも開かれたので、結局8時26分には入国できた。割と早かった。

おれが利用したカタール航空はターミナル1に到着したのだが、バゲージ・クレームでスーツケースを拾い上げ、税関を通り抜け、一目散に32番出口に向かった。パリ市内へ行く交通手段はいくつかあるのだが、今回はロワシーバス(Roissy Bus)(公式)を利用する。このバスは空港とパリ市内のオペラ座付近の停留所(地図)まで直通運転を行なっていて、友人から安価かつ比較的安全な交通手段だと聞かされていたのである。ここで言う友人の安全とは「スリに遭遇しにくい」という意味である。

バス乗り場券売機は運悪く故障中だった。

切符は運転手から現金で購入可能と書かれていたのだが、居合わせた観光客が「税関の近くにあるインフォメーションセンターでも買えるよ」と教えてくれたので、そこまで戻って切符を購入した。片道16.20€(2,719円:クレジットカード 決済)だったのだが、値段の変動があるかも知れない。

ちなみに、フランスに住んでいたことのある友人から「どんな店でも、店員の顔を見て「ボンジュール(出会いの挨拶)、メルシー(感謝)、オーヴァ(別れの挨拶)」を必ず言うよう」に指導を受けていたので、インフォメーションセンターで切符を買うときもこれらの言葉を使ってみたところ、スタッフの受けが抜群でめちゃくちゃ笑顔で対応してくれた。観光客が拙くも自国の言葉で話しかけてきたら嬉しいもんな。分かる。

バスは9時に到着し、待っていた客を載せるとすぐに出発した。

ちなみに、車内ではWi-Fiが利用可能である。オペラ停留所には10時30分に到着したので90分かかった。そこで迎えに来てくれていた恋人と合流。

ここがパリか!曇っているし随分寒いというのが第一印象。

恋人がNavigo Easyというプリペイド式交通系ICカードを購入してくれていたので、それを使ってバスに乗り宿泊先に移動した。

今回のパリ滞在は、Airbnb(公式)を使って部屋を借りたのだが、フランスでいうところの5階(日本では6階)のエレベーターがない建物だったので、出かけるたびに登り降りするのが若干しんどかったが、窓から空が見える素敵な部屋だった。

煙突の見える屋根。青い空に白い飛行機雲。

飛行機移動であまり眠れず少し疲れていたのだが、午後になると晴れ間がのぞいてきたし翌日が雨予報だったこともあり、「天気が良いうちにパリの街を歩こう」ということになった。

ヴォージュ広場(地図)

空気が乾燥しているためか、輪郭がくっきりとして風景が輝いて見える。単なる勘違いかも知れないけれど。パリに浮かれているだけなのかも知れないけれど。

でも、おれの大好きな漫画『のだめカンタービレ(公式)』でも、パリでは空気が違うから音が違うみたいな事が描かれていたっけ。あの漫画が好き過ぎて『なんでおれは音大を目指さなかったんだ』って後悔したんだっけ。他にも漫画『ハチミツとクローバー』が好き過ぎて『なんでおれは美大を目指さなかったんだ』って後悔したんだっけ。

パリの街中では大きめのコンビニのような、都内でよく見かける『まいばすけっと(公式)』的な店としてMONOPRIX(モノプリ)をよく見かけるのだが、比較的大きな店舗(地図)を見つけたので入ってみたところ、衣料品、日用品、文房具、化粧品などが売られており、また地下階は精肉、鮮魚、惣菜も扱っているスーパーだった。おれは海外のスーパーが好きなので、今度時間を作って一人でゆっくり見学に来よう。おれの恋人はスーパーに興味がないから。

航空機がカラフルな煙を曳いて上空を飛んで行った。何かの記念日なのだろうか。

セーヌ川に沿ってのんびりと歩いていると、おれたち以上にのほほん加減を全身から醸し出している日本人旅行客の女性二人組が向こうから歩いてくる。彼女たちを見た恋人は「あんな感じでぼんやりと歩いているとスリの標的になるから、重々気をつけるように」とおれに注意を促してきたのだが、その二人組とすれ違った時、うち一人のリュックのファスナーが全開になっていたのだった。

あれ?これ、やられてない?スられた後じゃない?

リュックのファスナー全開状態に全然気が付いていない彼女達が心配になって、おれが「日本の方ですよね。突然すみません。あの、、リュックのファスナーが開いてますよ。」と声を掛けると、彼女はびっくりしてリュックを確認し唖然としている。彼女はお友達と色々と相談を始めてもう我々のことは視界に入っていない様子だったので「じゃあ、、用心なさってください。では」と言ってその場を辞した。おれは今日到着したばかりでパリのことは全然分からないし、おれの恋人も似たようなものだし、そんなに力になれないから。

それにしても、やっぱスリっているんだなと思った。そして「リュックを背負うのは危ないね」と恋人と話しながらシテ島に向かった。

再建が進むノートルダム大聖堂。背面から。
焼け残ったファザードの正面に桟敷が組んであったので、そこに座って大聖堂を眺める。

おれはディズニー映画『ノートルダムの鐘』が好きだった。好きと言うか妙に印象に残った作品で、好きな人とは一緒になれないがそれもまた人生、みたいな単純なハッピーエンドではない部分が気に入っていたのだと思う。心が綺麗でも、命がけで行動しても、報われないことがある。いや、『報われる=恋愛の成就』とは限らないというエンディングがおれの心に響いたのかも知れない。しかし後に原作の小説を読んだところ、ディズニー映画とは全然違って、何から何まで悲劇的な結末を迎える物語だったことを知りショックを受けたのだった。

おれが青年期を過ごした頃は今のように同性愛者の人権に配慮するという社会的風潮は微塵もなくて、メディアはこぞってゲイを笑い者にしていたし、おれは自分の未来を悲観して過ごしていたんだっけ。だからこそ悲しい結末の物語の方が身近に感じられて好きだったのかも知れないな、なんてことを焼け残ったファザードを眺めながら思った。

左岸地区に渡り、シェークスピア・アンド・カンパニーへ。

ここ(地図)はおれの好きな映画『ビフォア・サンセット(Wikipedia)』の始まりの舞台である。ただ、行列ができていたので外観だけ眺めて店内には入らなかった。ここで購入できる有名なお土産なのだろう「トートバックは売り切れです」という立て札が、わざわざ立てられていた。ところで、パリに来ることが決まって恋人と一緒にこの映画を見直したのだが、恋人は「難しすぎる、、今のどういう意味?」と言いながら映画の途中で寝ていた。映画の趣味が全然合わない。

さらに歩いてルーヴル美術館の方に行ってみることにした。

ポンデザール(地図)を渡った先がルーヴル美術館。
橋を渡り切ると、パレードに出くわす。

先ほど航空機がカラフルな煙を曳いて飛んでいたのと関係があるのだろうか。(ネットで検索したところ、この日は英国のチャールズ国王の訪仏を歓迎するセレモニーだったようだ。)

ところで、このパレードが結構長かった。壮麗な制服を着用した軍隊?警察官?が騎乗して行進する様は格好良いのだがいささか長い。パレードが終わるまで道路を横断してルーヴル美術館側に行く事ができない、と思っていたのだが、なんと強引にパレードを横切る中年男性がいて『フランス人はやっぱ強ぇ』と感嘆した。おれはとても真似できない。でもその中年男性は警察官と思しき方々にめちゃくちゃに怒られていた。

ルーヴル・ピラミッドを見て
Netflixドラマ『エミリー、パリへ行く』のロケ地を見て
地下鉄に乗って宿の最寄り駅まで帰った。
スーパーにも寄った。

夜はペンネを茹でて、それにトマトとオリーブの瓶詰を掛けて簡単な夕飯にして20時30分には寝た。

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