バンコク旅行記17 ワット・プラ・ケオ(エメラルド寺院)と王宮を観た後で、川を渡ってこの世の極楽であるところのアイコンサイアムに行った話。

2022年8月22日

MRTのSanam Chai駅から歩いてワット・プラ・ケオに向かった。今日も徒歩だ。昨日国立博物館まで歩いて疲れていたが、今日も徒歩だ。おれが交通費をケチっているせいもあるが、おれは基本的に歩くのが好きなのだ。ただ、今日のバンコクはものすごい暑さで、日差しが肌を刺すようだったので、ワット・プラ・ケオの入口近くの店でコーラを飲んで一休みした。ちなみに、おれは飲み物の中でコーラが一番好きだ。子供の頃、親に飲ませてもらえなかった反動だと思っている。

ワット・プラ・ケオ(エメラルド寺院)と王宮は共通チケットになっており、拝観料は500THB(1,970円:クレジットカード払い)である。

また、せっかく来たのだからとオーディオガイド(200THB:818円:クレジットカード払い不可)を借りた。借りる際、受付にクレジットカード、またはパスポートを預けて、返却時にそれを返してもらう。

ワット・プラ・ケオはエメラルド仏が安置されているお寺だが、エメラルド仏以外にも見所がたくさんある。おれが気に入ったのは建物の装飾で、鱗のような、スパンコールのような細かな飾りが壁一面に施されていて、キラキラして綺麗だった。派手で、華やいでいる。日本の寺院に見られるわび・さびとは全然違う美意識があって、『おれは今、外国に来ているんだ』と実感する。

観光のメインであるエメラルド仏を実際に見ると、エメラルドではなくて翡翠っぽい。そう思っていたところ、オーディオガイドが「材質は翡翠」だと教えてくれた。やっぱり!と思うと同時に、『じゃあ翡翠仏と言った方が正しいのではないかな』とも思った。思ったが、『エメラルドは材質を指しているのではなく色を指しているのであれば、別に間違いでもないか』と自己完結した。ちなみに、エメラルド仏はそんなに大きな仏像ではない。

オーディオガイドが「エメラルド仏は過去、征服王朝に持ち去られたり、その王朝の娘の嫁ぎ先の国に持ち出されたり、その国では放置されたり、その国が征服されてその征服王朝にまた持ち去られたり」していると、かなり数奇な運命を辿っている事を教えてくれたのだが、その土地の人々の信仰の対象である仏像を奪ったり、放置したり、また奪ったりと、人間は本当に、本当に、、、正気でいてくれ、と思った。いや、人々の信仰の対象を奪う行為は、征服王朝からしてみると正気(理性的判断)のままで行っている政治的行為のだろうから、人間って本当にどうしようもないなと思う。

エメラルド仏が安置されている堂内の装飾は本当に素晴らしく、扉も美しく、天井も高くて立派だった。ちなみに、堂内は写真撮影が禁止で、多くの人が堂の外からエメラルド仏の写真を撮っていた。

おれはオーディオガイドが好きなのだが、今回も借りて良かった。色々な話を聞くことができて満足した。ただひとつだけ残念なのは、90分以内に返却しないと追加の200THB(818円)を支払わなければならない点だ。当日のワット・プラ・ケオの敷地内は観光客でごった返していたので、王宮ゾーンに到着したときには、返却時間まであと10分程になっていた。追加料金を絶対に払いたくないおれと恋人は、ものすごい早歩きで王宮ゾーンを見学し、無事時間内に返却する事ができた。預けておいたクレジットカードも無事返してもらえた。

敷地内にテキスタイルミュージアムがあったので立ち寄った。ここは追加料金なしで観る事ができる。英語の説明しかないためあまり詳しく理解できなかったが、建物が立派で良かった。

出口付近にはタイの仮面劇の劇場に向かうシャトルバスが待機していて、ワット・プラ・ケオ:王宮の入場チケットを持っている人は、追加料金なしで公演を鑑賞することができる。

出口から徒歩でTha Changという埠頭に向かい、川を下ってアイコンサイアムというショッピングモールに行った。ボートのチケットに関しても、ケチの染み付いたおれは一番安いオレンジラインの16THB(65円)のチケットを購入した。しかし、購入後に分かったのだが、エアコン完備の電動フェリー、運賃20THB(81円)が先にアイコンサイアムに到着する事を知って後悔した。4THBくらいケチらなくても良かった。

エアコン完備の電動フェリーを埠頭で見送った後に到着した我々の乗船予定の船は、けっこう年季が入っていた。

座席と水面がすごく近くて、ボートがスピードを上げると水しぶきが顔にかかる。おれはアトラクションみたいで楽しいと思ったが、恋人は怖かったそうだ。なぜ怖いのか理由を聞くと『もし船が転覆したら、みんなは助かるのに自分一人が溺れて助からないという想像をしてしまう』からだそうだ。それを聞いたおれは『すごく旅に向いていない性格だな』と思った。ちなみにおれは『世界が滅んでも自分一人だけは生き残ってしまうのではないか。ひょっとして。』と思う性格である。例えばビルが崩落しても、瓦礫をヒュンヒュンって飛び移りながら、地面まで降りてこれるのではないかと想像してしまう。これは子供の頃に読んだドラゴンボール並びにそれに類する漫画作品群の影響だ。実際にそんな災害に直面したら何もできないだろうことは頭では分かっているのだが。それにしても、おれと彼氏の性格は正反対だ。

船からワットアルンが見えた

アイコンサイアムには圧倒された。

こんなにお洒落なショッピングモールに来たことがなかった。船着場側にあるエントランスから入ると、まずはお洒落カフェが乱立している。ワクワクする。ワクワクすっぞ。東京でもこんなにワクワクするモールに行ったことがない。

カフェゾーン。もっとお洒落な空間なのに写真の腕がないのでうまく伝えられない。

カフェゾーンを抜けると、水上マーケットを模した広大なフードコートがある。『ここはこの世の極楽か?!』と思うほど、温かな光に溢れ、肉の焼ける香ばしい匂いが漂い、油が熱せられた時に発する心弾む音が聞こえ、色とりどりのフルーツが所狭しと並べられ、いろんなお茶やジュースも売られていて、すれ違う人々の楽しげで高揚した笑い声が聞こえてきて。

ここは極楽なのかもしれない。

ここは生きたまま来ることができる、極楽なのかもしれない。

ちなみに恋人は、「死んだ後はここに来るつもり」と言っていた。

フードコート入り口
中二階のイートインスペースから撮影

おれと恋人は目につくもの全て手当たり次第食べ散らかしたいと思ったが、まずは何か飲んでこの昂った気持ちを落ち着けよう、冷静を取り戻してからご飯を選ぼうと話し合った。それぞれ、パッションフルーツスムージーとアボカドミルクシェイクを飲み、小腹の隙間をちょっとだけ埋めるために豚の串焼きを食べた。美味しい。やっぱここは極楽か。

ジューススタンド
豚肉の串焼き
えのきの素揚げ。冷めてギトギトしていたが、揚げたてならば美味しいはず。

アイコンサイアムは2階のアップルストアからテラスに出て、チャオプラヤー川を眺める事ができる。また、7階にスタバの客専用のテラスもあるので、我々もコーヒーと紅茶を買ってテラスでチャオプラヤー川に乾杯をした。

南国のぬるい風が肌に心地良く、ここはやはり極楽なのだろうか。

日が暮れると噴水ショーが始まり、水と光が賑やかにキラキラと宙を舞って、しかも無料で見ることができて、やはりここは極楽なのだった。

もしくは小規模のラスベガス。

夜はフードコートに寄ってカレーを食べ、同じ階にあるスーパーマーケットでポメロ(100THB:394円:クレジットカード決済)を買い、Charoen Nakhon駅(Gold Line)からBTSに乗った。

この時は知らなかったが、アイコンサイアム専用の無料の渡し舟が対岸のSathorn埠頭まで送ってくれるので、そこからBTS Saphan Taksin駅(Silom Line)を利用することができる。