シドニー旅行記03 映画「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」を見て、オーストラリアミュージアムに行き、QVBでオーストラリア土産を買った話。あと、シドニー国際空港のニュージーランド航空ラウンジが最高だった話。

2023/04/17

長かったオーストラリア旅行も最終日である。タスマニア島で野生のウォンバットを見て、ウルルで念願のセグウェイに乗り、シドニーでかっこいいオペラハウスを見た。盛り沢山な旅行だったが、なんと言っても野生のウォンバットに会えたのが良かった。

ホテルをチェックアウトした後、夜のフライトまでどう過ごそうかと恋人と相談して、Event Cinemas George Street(地図)映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』(公式)を観に行くことにした。

料金は大人一人26AUD(2,399円)

日本と比べて少し割高だったが、映画に限らずオーストラリアの物価は総じて高く、と言うか、日本円の価値が低いのだから然もありなんという感じだ。

この映画を全編英語音声かつ字幕なしで視聴したのだが、これが全く問題なく楽しめた。このオーストラリア旅行で自分の英語スキルがレベルアップしたのかも知れないと思ったのだが、単に内容のない映画、というだけだった。

ピーチ姫の描かれ方が今時で良かった。鑑賞前から『まさかクッパに拐われて助けを待つだけのキャラクター』ではあるまいと予想していた通り、彼女は自身の役割を自覚し、協力者を獲得し、自らも先頭に立って行動する人物として描かれていた。男性権力者に財として略奪される女性、はたまた騎士による庇護の対象としての女性からは程遠いキャラクターであり、子供達が見る映画にこのような女性が登場することは喜ばしい。ジェンダーは自分を縛るものではなく、自分を輝かしてくれるものだと思って生きていって欲しい。

この映画についてもう一点。おれはエヴァが大好きなので、クッパをやっつけるクライマックスシーンで、ヤシマ作戦や初号機と弐号機の同時荷重攻撃のオマージュと思しき描写を見受けられて嬉しかった。

もう一点、英語圏ではクッパのことをバウザーと呼ぶことを初めて知った。

ハイド・パーク

映画鑑賞後、近所の公園(地図)で昨晩の残り物であるパンとチーズをリュックから取り出してモソモソと食べた。旅行の最終日だからといって、おしゃれなカフェやレストランには行かないのがおれ達流の旅である。おれ達流というか、恋人はカフェとかレストランに行きたい派なので、多分おれに合わせてくれている。

その公園の近くにオーストラリアミュージアム(地図)があったので行ってみると、常設展は無料で見せてもらえるし規模も大きくて見応えがあった。

立派な角。かっこいい。

ここには動物の剥製が多く展示されていたのだが、おれの苦手な蛇の剥製も多く、もしかしてオーストラリアには蛇が多く生息しているのだろうか。怖い。

シドニー・セント・メアリー大聖堂

ミュージアムの向かいにある教会(地図)

荘厳な雰囲気。
大聖堂から歩いてQVB(地図)に移動して、
Haigh’s Chocolates(地図)でお土産を買った。

結局おれにはオーストラリア土産の正解がわからないまま、海外旅行土産のど定番であるチョコを買うことになった。ただ、嬉しいことにイースターの卵形のチョコがワゴンセールになっていたので、喜んで購入した。昨日、恋人に対して『この人は季節限定商品の在庫処分要員としての自覚があるのかな』と思う場面があったのだが、今日はおれが在庫整理班の一員である。なんと言っても安いが一番である。安いと嬉しいのである。でも人にあげるお土産は、セール品ではなくアソートチョコレートを購入した。

11AUDで購入したものたち。

AUDのキャッシュが少し残っていたので、QVBのお向かいにあるウールワース(地図)でチーズやサラミなどを購入して、昼と同じ公園に行き「シドニー最後のご飯はピクニックだ」と言いながら食べた。

かっこいい消防署。

ホテルに戻り預けておいたスーツケースを受け取り、スタッフにタクシーを呼んでもらった。10分程経ってスタッフがタクシーの到着を知らせてくれたので入り口の車寄せに向かうと、他の旅行客がおれたちの呼んだタクシーに乗り込んで出発したところだった。

まじでふざけるなよ。

と、思ったのだが、既に出発してしまったものは仕方がない。フロントに再度迎車を依頼した。

おれは海外旅行中は『こんなこともあるさ』と唱えて積極的に諦める作戦で可能な限り腹を立てないようにしているのだが、恋人はタクシーを横取りされたことで結構気分を害してしまった。ただ、機嫌を悪くしたところで次のタクシーを待つより他はない。タクシー横取り旅行客に文句の一つも言いたところだが、もうここにはいない。

しかし、恋人のイライラは治らず、そもそもスタッフに迎車を頼む際のおれの頼み方が悪かったのではないかとイチャモンをつけてきたりした。じゃあ君が頼めば良かったじゃないかと思うし、不機嫌でいられると一緒にいるおれも嫌な気分になるからやめて欲しい。

でもおれは分かっていた。恋人は長旅の疲れが出て機嫌が悪いだけなのだ。タクシーの横取りは不機嫌の原因ではなく、きっかけに過ぎない。多分。

我々が乗るはずだったタクシーを見送って20分程経って頃にようやく次のタクシーが到着して、車に乗り込んだ途端に恋人は寝てしまった。そんな恋人の横顔を眺めながら『この人の性格が変わってくれたら』と思ったけど、人の性格を変えるなんて不可能に近い。だって、おれも自分の性格は直せない。だから、恋人の機嫌が悪くなる前に気持ちを逸らす方法があるだろうかとか、おれ自身が恋人の不機嫌に引っ張られないようにする方法があるだろうかとか、色々と考えながらシドニーの街を眺めていたら空港に着いた。

出国手続きの際、空港係員の指示に従っていたら恋人とは別の列に並ぶように割り振られた。だからセキュリティチェックが終わるまで恋人とは別行動になったのだけど、合流した時に恋人がちょっと不安そうな顔をしていて「どうして別の列に並んだの?置いて行かれたのかと思った!」と言ってきたので『ああ、機嫌が治ったのだな』と分かった。

機嫌が治ったタイミングを逃すまいと、恋人に「さっきおれに八つ当たりをしていたけど、不当だったと思いませんか?」とおれが尋ねると、「ナス(おれのこと)に対して不機嫌になっていたのではない。タクシーを横取りするマナー違反の客にイライラしただけだよ」と弁明してきたので、おれは「でも二人旅で君が不機嫌になると、一緒にいるおれがどんな気持ちになるか想像してみて。嫌な気分になると思わない?どう?」と聞くと黙ってしまったので「おれはあなたに我慢強い人間になって欲しいし、感情のコントロールが出来るように自分で訓練して欲しいよ。分かった?」と追い打ちをかけたら、ようやく「分かった。」と言っていた。

その後、ニュージーランド航空のラウンジに行ってシャワーブースを利用したのだが、今回の旅行で宿泊したどの施設よりも広くて清潔で痛く感動した。

水滴一つ残っていなかった。
スコーン大好き。

また、ブッフェに並んだ料理の見た目が綺麗で味付けも上品、そして美味しいものばかりだった。

空港ラウンジが大好きな恋人は、この長かったオーストラリア旅行で一番の笑顔を見せていた。大好きなウォンバットを見た時よりも嬉しそうだったし、セグウェイで青空の下を爆走した時よりもテンションが上がっていた。

ラウンジにはワインバーもあって、恋人の喜びはこの旅の最高潮を迎えた。グラスワインをスイスイと飲んで、アルコールで顔を真っ赤にしながら「さっきの悪い思い出がどんどん良い思い出に塗り変わっていってるよ!サイコー!」とほくほくした笑顔で宣っていた。

おれは「さっき八つ当たりされたこと、おれはこの先もずっと覚えているからね。」と釘を指しておいたが、アルコールが抜ける頃にはおれの言葉は彼の頭から消え去っているだろう。恋人の頭の中の消しゴムは最強ツールである。

結局彼はワインをグラスで6杯も飲み、この上ない上機嫌で機上の人になった。やれやれ。

おれはカフェラテを淹れてもらった。美味しかった。

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