シドニー旅行記02 シドニーオペラハウスツアー(日本語)に参加した話。あと、結局お肉を腹いっぱい食べられればご機嫌な恋人の話。

2023/04/16

朝からどんよりと曇り空が広がり、オーストラリア旅行も明日で最終日だというのにいまいちテンションが上がらない。食欲もあまりなく、昨晩買っておいた果物とヨーグルトで簡単な朝食にした。

昨晩オンラインでシドニーオペラハウスツアー(公式サイト)のeチケットを購入したので、今日もオペラハウスへ行く。日本語のガイドで所要時間は30分、32AUD/1人(2,947円)だった。

13時30分開始の回を予約したのだが、午前中は特にやりたいことや見たい場所も思いつかなかったので、宿泊しているホテルからぶらぶらと歩いてオペラハウスに向かうことにした。

パブの入り口に設置された見猿、聞か猿、言わ猿。

何となく日本の諺というか教訓の様に思っていたのだけれど、バンコクでもこのモチーフを目にした事があるし、きっと世界共通の戒めなのだろう。ヒトが社会的動物である限り、この三つをうまく飲み込めない者は共同体から追放されてしまうから。

シドニーにはトラムが走っているので、

昨日乗ったレッドラインの軌道に沿って歩くことにした。

道すがらアーケード型の商店街(ザ・ストランド・アーケード:地図)を見つけ、入り口から覗いてみると、何ともヨーロッパ的な雰囲気が漂う素敵な商店街だったので立ち寄ることにした。
恋人はその商店街に入っていたスパイス兼紅茶屋(地図)で、ミントティーとシナモンティーを土産として購入した。

店員さん曰く、シナモンティーはイースターの時期にしか販売されない期間限定商品であり、また彼女自身も大好きなフレーバーなのだとか。我々がその店を訪れたのはイースターがちょうど終わった時期だったためか、店員さんがシナモンティーを値引きしてくれた。恋人は洒落た店で土産物が買え、また値引きもしてもらえたという事でホクホク顔で喜んでいた。

そんな喜ぶ恋人の顔を目の前にして、おれは『季節限定商品の在庫処分を手伝わせられたのだな』と思ってしまった。おれは異国の空の下にあっても、素敵な商店街に佇んでいる時でさえ、本当につまらない事を考えてしまう性格なのだとがっかりした。

それにしても、オーストラリア土産に正解はあるのだろうか。肉や野菜は持って帰るのが難しいし、オーストラリアっぽいものがあまり思い浮かばない。

商店街を後にして、シドニーの街並みを眺めながら歩き、レッドラインの終点であるサーキュラーキー駅(地図)付近に到着する頃にはちょうど昼ごはん時になっていたので、

駅近くにあったフードコート内のメキシコ料理屋(地図)でブリトーを食べることにした。

ものすごいボリュームで、とても辛くて、すごく美味しかった。二人で29.80AUDだった。

店名はマッドマックス 怒りのデス・ロードからヒントを得たのだろうか。
午後は綺麗に晴れた。

シドニーオペラハウスツアーの集合場所は、LOWER CONCOURSEのウェルカムセンターとあったのでそこへ向かったものの、集合時間の5分前になってもツアー客らしき人が集まる様子がない。もしかして集合場所を間違えたのかと不安になってウェルカムセンターのスタッフに尋ねると「そこで少し待っていて下さい」と言われるのみである。ソワソワしながら待っていると、時間ぴったりに日本人ガイドさんが我々を見つけてくれてツアーが始まった。結局、参加者はおれと恋人の二人だけで、ガイドさんも「まだまだ日本人旅行客の客足が戻っていない」とおっしゃっていた。

ガイドツアーの所要時間は30分の予定だったのだが、後続の予定が入っていなかったためか、少し長めに、丁寧に説明しながら回ってくださった。

神殿の様な静けさ。
古代の遺跡、もしくはゼルダっぽい建物内部。
ツルツルとザラザラのタイルで構成されいる壁面。

おれが印象に残ったのは、この建物の設計者は構造計算をせずにコンペにスケッチを出品したというものである。「プロがそんなことして良いのか??」とかなり驚いた。時代がおおらかだったのか、設計者が破天荒だっただけなのかは分からないが。でも、結局は建設可能かどうかも不明な、しかし人の心を魅了してやまないその建物案が採用され、途中政権交代などで設計者がクビになるなどのゴタゴタがあったものの、その後複数人の建築家が協働し、国を代表する建築物となったこのオペラハウスを完成させたのだという。美しいものに惹かれるとはこういう事なのか、と思った。

もう一つ印象に残っているエピソードは「このオペラハウスは岬の上に建てられているのだが、この岬はその昔先住民の聖地だった」というものである。オーストラリア本土やタスマニア島では、この手の話は至る所で見聞きしたのだが、その度に心がざわついてしまう。というのも、入植という名の占領、略奪の歴史について、そしてその歴史の上に成立している現代について、否定するにも肯定するにもインプットが圧倒的に不足しているため、自分のスタンスを確立できなくて心がざわついてしまうのだと思う。上手くは言えないけれど、とにかくやるせない気持ちになる。

やるせないと言えば、おれは漫画『進撃の巨人』を読んでいた頃もやるせなさ過ぎて身悶えた。この漫画のテーマの一つだとおれは思っているのだけれど「自分たちが生まれる前の原因により自分たち向けられた『怒り』や『憎しみ』に対して、自分たちはどのように対峙し、どのように生きるのか」このテーマは自分にもそのまま当てはまるものである。自分の中にまだその答えがないから、読んでいてずっと苦しかった。あと、進撃の巨人に関してはもう一つ言いたいことがある。それは、アニメの完結時期を漫画の完結時期に合わせて欲しかったという事である。漫画の最終巻を読んだあの頃の、最高に昂っていた時期にアニメ版の最終話も見たかった。

ツアーの締めくくりでガイドさんが「今日は19時30分からオペラハウスでライトアップをやっているから、もしよかったら夜も来てくださいね」と言っていたので、恋人と相談して夜にまたオペラハウスに来ることを決めた。

ツアー後は、

近くの公園や
ロイヤル植物園(地図)を散歩した。
ロイヤル植物園のギフトショップ(地図)で購入したウォンバットのマグカップ。ウォンバット熱が高い状態だったので購入したが、大人が使うには小さ過ぎた。

トラムに乗ってホテルの最寄駅まで戻ったものの、恋人が歩き疲れている様子だったので「おれは晩御飯の買い物をしにスーパーに寄って帰るから先に帰っていていいよ」と言ったのだが「一緒に行く」と言ってついてきた。だが、晩ご飯用に買った牛肉の量が500gでは少なすぎるだとか、ここには美味しそうなチーズが売られていないだとか、疲れたので早く部屋に戻りたいだとか、ゴチャゴチャごちゃごちゃ言ってきて面倒臭かった。

恋人は疲れていたり、眠かったり、お腹が空いていたりすると不機嫌になるので、正直うざい。こうなることが分かっていたから「先に帰ってて良いよ」と言ったのに。

ぐずる恋人を連れて歩くのは疲れるので、スーパーで手早く買い物を済ませてホテルに戻った。部屋ですぐに食べられるようにとレンジで温めるだけのレトルトパッタイを購入したのだが、これがびっくりするほど不味かった。この不味さ、衝撃的。二人ともあまりのことに閉口し、一口以上食べ進める事ができなかった。こんなのパッタイじゃない、、、。

ここ数年で一番不味かった。我々の口に合わなかった、というだけのことだが。

恋人はパッタイを捨てる際、ソースが白いTシャツにはねてしまい更にイライラを募らせていた。イライラした恋人は「もう御飯は全部外食にしよう。自炊ご飯にも飽きたし。」と言った。それを聞いたおれはイラっとして「自炊ご飯が飽きたって言ったけど、作っているのはおれだから。おれがご飯を作っている間、君はスマホをいじっているだけだから。言い方というか、、、配慮が足りないんじゃないの?」と返すと恋人は「自炊に飽きたって言ったのは、外国のスーパーで知らない食材に出会うワクワクがなくなったって意味であって、、、ゴニョゴニョ」と言い訳をしたので「例え君の真意がそうであっても、これまで料理を作ってきた人に対して、料理が飽きたから外食にしたいというのは失礼だと思わないのか?言われた相手は傷つくよ。そう思いませんか?」と言うと、ようやく「ごめんなさい」と言った。

パッタイに驚いたり喧嘩をしたりしていると19時になってしまったので、慌ててトラムに乗ってオペラハウスへ向かった。ライトアップというからにはかなり綺麗なものを予想していたが、実際は地味なプロジェクションマッピングだった。

この面だけを使ってひっそりと上映されていた。
大きな音の演出などもない。

ド派手なライトアップを期待していたので多少がっかりはしたものの、まぁシドニーの夜散歩を楽しめたと思えば良いか、と話しながら帰路についた。

シドニーの夜景

でも、この残念感を部屋に持ち帰るわけにはいかない!!と、近所のスーパーで鶏の丸焼きを買って豪勢な晩ご飯にした。牛肉500gも焼いた。夕方に「自炊ご飯に飽きた」と言っておれに怒られていた恋人は「美味しいね!鶏も牛も。お肉がいっぱいで嬉しいね!!」と喜色満面でモリモリ食べていた。

牛肉と
鶏の丸焼きと
近所のスーパー

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