2023/04/13
朝起きると厚い雲で空が覆われていた。今日はおれのセグウェイデビューの日だというのに。
この旅のメインイベントであるウルルセグウェイツアーは午後に開催される。それまで部屋でゴロゴロするのは勿体ないと思ったので、プールサイドでゴロゴロすることにした。同じゴロゴロでも場所が変わればバカンスになる。ゴロゴロしているうちに空は快晴に変わった。
ウルル セグウェイ ツアーズ(公式)の参加者は14時45分にホテルの玄関前に集合し、ウルルまで連れて行ってもらえる事になっている。ホテルの玄関前と言っても、我々が宿泊しているThe Lost Camelの隣に建つ5つ星ホテルのSails in the Desertの玄関前でのピックアップである。
ツアーの案内書に水1リットルを持って来いという指示があったため、おれはペットボトルの水をリュックに入れた。恋人はタスマニアのボノロン・ワイルドライフ自然保護区(公式)で購入したタンブラーを痛く気に入っていたので、それに水を入れて持っていきたいと言う。
恋人に「タンブラーだとこぼれるかな?」と聞かれたので「こぼれるよ。そもそもタンブラーは持ち歩き用じゃないよ。水筒かペットボトルにした方が良い」と助言したのだが「やっぱりこのタンブラーが可愛いので使います。」と高らかに宣言したので好きにさせた。
我々は集合時間よりも15分早くピックアップ場所に着いたので、ホテルのロビーにあるソファに腰を下ろしたところ、恋人のタンブラーから水が溢れて、彼のTシャツ、カバン、汗拭き用のタオルまでもが濡れている事が判明した。
だから言わんこっちゃない。
恋人は暑い中走って部屋に戻り、急いで水筒に水を入れ、服を着替え、走って戻ってきた。
そして開口一番「替えのタオルが見つからなかった。どこにしまったの!!」とおれを責めてきた。
先ずは、だから言わんこっちゃないと思い、
次に、タオルが見つからないのはおれのせいじゃないと思い、
最後に、かわいそうに、と思った。
と言うか、そもそも何でタンブラーで「イケる!」と思うのだろうか。不思議である。



練習の時点で既に楽し買ったのだが、おれはもう何年もセグウェイに乗りたかったのだと瞬時に悟った。心はこんなにも渇望していたのだ。ああ、楽しい。この日が来るのを待ち望んでいたのだ。
それにしても、蠅がすごい。


午前中の曇り空が嘘だったかのように、セグウェイツアー中は痛いくらいの陽射しが照りつける。青空にウルルの赤い岩肌が映える。
ウルルには写真を撮って良い場所とダメな場所が存在するのだが、少し分かりづらい。「写真を撮るな」が一眼で分かる表示があれば良いのにと思うのだけど、他人様の聖域にノコノコとお邪魔して小言を言うのもおかしいので何も言わない。
それにしても、蠅がすごい。
撮影不可の神聖な場所までセグウェイで行った帰り道、少し木々が茂る地点でセグウェイを降りて、洞穴と泉を見に行った。
ウルルにできる黒い筋は雨が降るとできる滝の跡で、バクテリアが繁殖するから黒い筋になるのだとオーディオガイドが教えてくれた。このオーディオガイドは日本語に対応しているので助かる。

泉からの帰り道はセグウェイで出発地点まで戻ったのだが、運転にも慣れて調子こいた参加者が蛇行運転をした挙句、セグウェイから落下するなどのアクシデントがあった。車輪が少し大きめの岩に乗り上げてしまい、ポーンと放り出されていた。全員プロテクターを付けているので彼女も出血には至らなかったが、それを見ておれは調子こきたくなる衝動を抑えて最後まで安全運転をしようと思った。
ちなみに「蛇行運転をしてはいけません」と、皆初めに注意を受けます。

とにかく蠅がすごかったが、

すれ違う人々から「それ良いね!」という羨望の眼差しを一身に受けた。冬であれば蝿はそれほど多くはないらしいが、暑い時期にはこれがあれば嬉しい。
セグウェイツアーはひとり179AUDで、20AUDの追加料金を払えばサンセットツアー(合計199AUD:18,691円)を付ける事ができる。おれ達は申し込んだのだが、セグウェイから降りた途端にまた曇り空になってしまったので、夕陽と夕陽に染まるウルルを眺めることはできなかった。

でもシャンパンと軽食(パンとディップ)が供されたので、食べたり飲んだりしながらウルルのそばで過ごした。気怠くて良い時間だった。ケータリングにももちろん蠅がたかっていた。ここではこれが当たり前の風景である。
19時過ぎにホテルに戻ってきて、昼間スーパーで買っておいたカップ麺を啜って21時に就寝した。
明日は朝の4時に起きて、フィールドオブライトを見に行くから。