よく晴れたある日
「洗濯物を干すのが大好きなのさっ」
と言いながら
恋人が居間に戻って来たので
どれどれ
と、おれは恋人が干した洗濯物を見に行った。
タオルはしわくちゃ
ワイシャツはシワシワ
ロンティーは片方の袖が裏返り、
裾から飛び出している状態でハンガーに吊るされている。
おれはきれいに畳むまでが一行程だと思っているので、
恋人の前衛的な干し方に衝撃を受けた。
恋人をベランダに呼び戻して一緒に干し直したいと思ったが、
一仕事終えて満足して鼻歌を歌っている恋人が可哀想な気もする。
かと言って
黙って干し直すのは感じが悪いし、
何よりもおれの手間が増える。
それに、
恋人は洗濯物を干すにあたり
何らかの意図、またはポリシーがあるのかも知れない。
そうと決まれば確認だ。
おれが「非難の意図はなく確認したいだけなんだけど、
ロンティーの片方の袖が裏返っているのは乾けば問題ないからそのままにしているのか」と問うと、
「気付かなかった!」と恋人は答えた。
『気づいていないんだ』
おれが全部干し直した。