スライサーで玉ねぎと指先を

夕飯を作る前に
シンクに溜まった調理器具や食器を洗う

おれがいつも食事を準備しているのだから
食器を洗うのは恋人の担当という事で良いか?
と提案し、恋人も了承した。

恋人がキッチンをうろうろしていたので
スライサーを使って玉ねぎをスライスしてくれと依頼したところ
恋人はスライサーの刃で自分の指先もスライスした

血がたくさん出たので
心臓より高い位置で指の根を強く押さえさせて
止血させる

後で見ると
薄くスライスされた玉ねぎに指の皮膚が混じっていた

結局
夕飯を準備し、
箸を使えない恋人の口に食べ物を運び、
さっき約束したはずの
食器類の後片付けもおれがやった。

食器を片付けている最中も
恋人はぐったりとうなだれて
YouTubeを見ていた。

怪我をしたのは可哀想。
それは本心だ。
でも、
怪我をする前に決めた食器洗いに関して、
「今日はお皿を洗えないからお願いしても良いか」
くらい言えないものか。

まぁ、
その発想ができる人間であれば
おれが家事の負担割合でイラついたりしていないだろう。

これまで家事をしてこなかった人間は、
家の中の維持にどのような労力が発生しているのか、
そもそも分かっていない。
分かっていないから、
維持している人の手間と労力に気がつかないし、
感謝できない。

でも、
今夜は怪我でいっぱいいっぱいだろうから、
また別の日に言おう。