ウエストランド河本太の顔が好きだ。
太は黙っていると俳優みたいでかっこ良いと思う。
芸人なのに引っ込み思案なところも好きだ。
ごくたまに面白いことが言えるところも好きだ。
井口のツッコミを受けて顔が真っ赤になって涙が出てきてしまうところも好きだ。
うまい対応が思いつかずにヘラヘラと笑って誤魔化してしまうところも好きだ。
太の落ち着いた太い声も好きだ。
太の丸っこくて柔らかそうな耳が好きだ。
太の耳から顎にかけてのラインが好きだ。
太の広いおでこが好きだ。
太の艶のある健康そうな髪の毛が好きだ。
太をモデルに大仏が造られたら、手を合わさずにはいられなくなるようなありがたい仏様になるだろう。
といった具合に、おれは今、太の顔ファンである。
それを知っている恋人が、ウエストランドが出演するM-1ツアースペシャル静岡公演のライブチケットを購入してくれた。おれへのプレゼントだと言っていた。しかし、おれよりも恋人の方が太の顔ファンである。恋人はウエストランドが出演するテレビ番組を全て録画して見ているし、居住地の関係で放送されない番組はTVerの配信で見ている。彼らのラジオ形式のインターネット配信番組「ぶちラジ！」も過去に遡って視聴している。スマホの待ち受け画像も太である。熱量がすごい。ウエストランドを追いかけている内に他の芸人にも詳しくなり、おれに色々と蘊蓄を語り始めるようになったので正直うざい。おれと恋人には、太やお笑いにかける熱量に圧倒的な差があるから。おれは言ってもそこまでの熱量はないから。正直うざい。が、
M-1ツアースペシャル2023公演はすごく楽しかった。
ただ、会場が広いせいか、マイクの調子が悪いのか、演者の声が小さくて聞き取りづらい場面が多々あったのだけれど、ウエストランド井口の声はめちゃくちゃ聞き取れたので、井口は客に絶対に届く声量を意識して喋っているんだなと感じた。あと、舞台袖から出てくる時も捌ける時も、井口は客席に視線を向けて大きく手を振って歩いていたし、井口ってやっぱりちゃんとしている人なんだと思った。ちゃんとしている、そう、社会人的なまともさを感じる人だった。
公演が終わった後に恋人と駿府城公園を散歩していると、偶然にもウエストランド井口、キュウの清水さん、ダイヤモンドの野澤さん、真空ジェシカのガクさん御一行に遭遇した。さっきまで舞台で見ていた面々と会えるなんて、なんと幸運なことか！！！おれ達以外にも彼らに気づいている人がいて、井口に写真を撮らせて欲しいと頼んでいたが、井口は「撮影は全てお断りしているんですよ、すみません」とのこと。でも井口は「盗撮だけならー」と発言。盗撮ならOKなんだ！と喜んで写真を撮るファン。そして盗撮だけと言いながらも、撮影者に対してポーズを取り笑顔を向ける井口。更には「インスタとかにはアップしないよう注意してくださいねー」と、多分、肖像権の問題などを考慮したのか、ファンに対してきちんと注意を促す井口。
ウエストランド井口はめちゃくちゃまともな人だ。
社会人だ。
おれは太の顔ファンなのだが、それと同時に井口の才能ファンでもある。井口は策略家だと思う。軍師感がある。既にピンで売れているのに、太を切り捨てず、コンビで売れようと奮闘している様もかっこいい。井口は悪口を言っているのではなく、まともなことを直球で発言しているのだと思う。歯の衣のはだけさせ具合が絶妙に上手だ。
ウエストランドの「ぶちラジ！」を見ていて（もしくは聴いていて）思うのだが、井口と太は仲が良い。仲が良いっていうのとは少し違うかも知れないが、太が井口に対して全幅の信頼を寄せていることが、また井口が太に頼られて嬉しそうなことが伝わってくる。こんなの。こんなのって純度の高いBLの垂れ流しである。最高。
今回のライブに行ったことで、井口の評価がますます上がった。そして、太の顔を愛してはいるが、顔を愛でるのはライブよりもテレビの方が適しているという結論に至った。井口の才能に惚れているし、太の顔を愛でているが、でも結局のところ、シンプルにおれはウエストランドが面白いから好きだ。
静岡には初めて行ったので、ライブの他にも美術館に行ったり、黒いおでんを食べたり、抹茶のジェラートを食べたりした。静岡は良い街だった。
